
Claude Code セキュリティ|機密情報を扱う前の判断基準
Claude Codeに社内情報や顧客情報を入力できるかを、情報の機密度・作業内容・アクセス権限・データの取り扱い条件から判断する手順を解説します。
こんにちは、平岡です。Claude Codeに社内情報や顧客情報を入力できるかは、情報の種類、依頼する作業、利用環境の権限とデータ条件を一組として確認し、社内規程や契約に照らして判断します。Claude Codeだから一律に安全、あるいは危険とは決められません。個人情報を含む場合は利用目的も確認し、権限やデータの扱いが未確認なら、入力を止めて確認先につなぐのが基本です。
Claude Code セキュリティの判断は「情報の機密度×作業内容」から始める

判断の出発点は、入力する情報だけでなく、Claude Codeに何を依頼するかです。同じ社内文書でも、公開済み資料の要約と、未公開の顧客提案書の修正では、扱いを分ける必要があります。弊社では、情報の分類、依頼内容、参照・変更する範囲、利用する人と承認者を順に確認する判断手順をおすすめします。
- 入力情報の分類:公開情報、社内情報、機密情報、個人情報など、社内規程上の区分を特定する
- 作業内容:要約・コードレビューのような確認作業か、ファイル編集・テスト・コマンド実行を伴うかを分ける
- 対象範囲:参照するファイル、変更するファイル、操作の範囲を絞る
- 利用可否:社内ルールに「入力しない」「条件付きで使う」「利用可能」の区分を定め、条件と承認者も明記する
この3区分はClaude Codeの公式な安全区分ではなく、社内で運用するための整理例です。「条件付きで使う」場合は、匿名化や対象ファイルの限定、担当者の承認など、何を満たせば利用できるかまで決めます。条件が未確認のままなら、利用可能とは扱わない運用が現実的です。
情報を分類し、作業内容とアクセス範囲を確認してから、利用可否を決めます。情報の機密度だけで判断せず、編集や実行を伴うかも分けて考えます。
入力する情報を機密度で分類する

「社内情報」「顧客情報」という呼び方だけでは、入力可否を決めきれません。営業資料、顧客とのやり取り、社員情報、開発中のコードなど、具体的な情報を社内の分類基準に当てはめます。個人情報や顧客情報の定義、入力制限、匿名化の条件は、社内規程と契約条件を基準にしてください。
個人情報保護委員会は、個人情報を含むプロンプトを生成AIに入力する場合、特定済みの利用目的の達成に必要な範囲内か確認するよう求めています。さらに、個人データを含むプロンプトが応答出力以外の目的で扱われる場合、本人の同意なしの入力が個人情報保護法違反となる可能性を示しています。入力前に、利用目的とデータの取り扱い条件を照合することが欠かせません。
IPAの「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」は、顧客情報・機密情報を扱う業務や、外部公開前の情報を扱う業務を、生成AIの利用制限を検討する例に挙げています。顧客名を別の文字列に置き換えれば必ず入力可能、とは判断せず、匿名化の要件を社内規程と契約で確かめます。
個人情報を含む場合は、入力すること自体だけでなく、特定済みの利用目的との関係を確認します。応答出力以外でのデータの扱いが不明なら、個人情報保護や法務の担当者に判断を引き継ぎます。
作業内容とアクセス範囲を確認する

要約やコードレビューを依頼するときも、Claude Codeが参照するファイルと作業後の影響を確認します。たとえば、特定ファイルのレビューだけを頼むのか、関連ファイルの編集やテストまで含めるのかで、必要な権限と確認の仕方は異なります。
Claude Codeのセキュリティ文書では、Manualモードは読み取り専用権限で開始し、ファイル編集・テスト・コマンド実行時に確認を求めると説明されています。また、Manualモードでは開始フォルダとそのサブフォルダへの書き込みが基本で、親ディレクトリの変更には明示的な権限が必要です。
/permissionsでは権限ルールを確認・管理できます。公式文書は、機密リポジトリではプロジェクト固有の権限設定を使うよう案内しています。利用者に付与された権限の範囲でClaude Codeが動作するため、提案されたコードやコマンドは承認前に内容を読み、依頼した作業を超える変更がないか確認します。
権限ルール:/permissions
確認する範囲:開始フォルダ/サブフォルダ/親ディレクトリ
承認前に見るもの:提案されたコード/コマンド/変更対象ファイル
IDE連携やクラウド実行を使う場合も、利用形態ごとにファイルへのアクセス範囲、実行できる操作、データの取り扱い条件を確認します。手元の環境で設定が異なる可能性があるため、公式文書と社内環境の両方を照合し、わからない項目は管理者に確認します。
Claude Codeのセキュリティ上の確認点

確認対象には、プロンプトインジェクションへの備え、権限設定、外部連携を含めます。参照するファイルや外部連携を追加したときは、以前の確認結果をそのまま使わず、読み込む情報と実行できる操作を見直します。
データの学習利用と保持期間は、利用形態や設定によって異なります。Anthropicのデータ利用文書では、商用利用では送信したコードやプロンプトを生成モデルの学習に使わないのが既定方針ですが、顧客がモデル改善用のデータ提供を選んだ場合は例外です。Free・Pro・Maxでは、モデル改善へのデータ利用を許可すると、Claude Codeの利用分を含むアカウントのデータがモデル学習に使われる場合があります。
Anthropicの文書によると、商用ユーザーの標準データ保持期間は30日です。Claude for EnterpriseのClaude Codeでは、組織単位でゼロデータ保持を有効にできます。利用プランだけで判断せず、組織設定や契約内容も合わせて確認します。
見落としやすいのが、Claude Codeクライアント側の保存です。セッション再開のため、会話トランスクリプトはローカルの ~/.claude/projects/ に平文で30日間保存され、cleanupPeriodDaysで期間を調整できます。利用端末やプロジェクトの扱いを決める際は、この保存先と保持期間も確認対象に含めます。
クライアントの保存先:~/.claude/projects/
保持期間の設定項目:cleanupPeriodDays
確認する契約・設定:モデル改善用データの提供/組織の保持条件
Anthropic API、Amazon Bedrock、Google Vertex AIのいずれを使う場合も、Claude Codeの商用条件では、別途合意がなければ既存の商用合意が適用されます。MCPについては、許可するMCPサーバーの設定をソースコードで管理できますが、AnthropicはMCPサーバーのセキュリティ監査や管理を行わないとしています。外部連携を追加する場合は、接続先と設定を管理者が確認する手順を設けます。
Claude Codeのセキュリティ文書では、脆弱性を見つけた場合、公開での開示を避け、再現手順を添えてHackerOne経由で報告するよう案内しています。社内システムで見つけた問題の報告先や対応は、別途、社内のインシデント対応ルールに従います。
利用場面ごとに可否を判断する

以下は、社内の情報分類と利用条件を当てはめるための判断例です。区分そのものを一律に決めるのではなく、社内規程に照らして最終判断します。
- 公開情報の要約:公開済みの情報だけを対象にし、依頼する作業とアクセス範囲が利用ルール内なら「利用可能」の候補。未公開の添付資料が混ざっていないか、対象ファイルを限定して確かめる
- 社内文書の要約:文書の機密度と利用目的を確認し、社内ルールが許す場合に「条件付きで使う」の候補。氏名や顧客名などが含まれるときは、必要な範囲への絞り込みや匿名化の要否を確認する
- コードレビュー:リポジトリの分類、参照対象、変更・実行権限を確認する。機密リポジトリならプロジェクト固有の権限設定を使い、コードやコマンドの提案は承認前に担当者が読む
- 顧客情報を含む作業:利用目的、契約上の条件、応答出力以外のデータ利用の有無が確認できるまで入力しない。入力を認める場合も、必要最小限の情報に絞る条件と承認者を明確にする
- 外部公開前の資料:IPAが利用制限を検討する例に挙げる情報として扱い、公開済み情報と同じ区分にしない。公開前の情報に関する社内ルールと権限を先に確認する
作業の影響が大きい場合は、入力できる情報であっても、読み取り専用の確認にとどめるか、変更やコマンド実行を担当者の承認後に限定するかを検討します。判断の分かれ目は、情報を入力してよいかだけではありません。どのファイルを見せ、どの操作を許し、誰が出力を確認するかまで含めて決めます。
入力前に誰が何を確認するか

利用者、管理者、情報管理・法務の担当者で確認項目を分けると、判断の抜けを減らせます。社内の役職や承認経路は会社ごとに異なるため、次の役割を自社の体制に合わせて割り当てます。
- 利用者:入力する情報の分類、利用目的、依頼内容、参照・変更するファイルを確認。個人情報が含まれる場合は、その点を申告する
- 管理者:利用環境、権限設定、プロジェクト固有のルール、MCPなど外部連携の設定を確認する
- 情報管理・法務の担当者:社内規程、契約条件、個人情報の利用目的、学習・保持条件を確認する
承認者や相談窓口が決まっていないときは、入力を保留し、情報管理の責任者またはシステム管理者に判断先を確認します。口頭で承認された場合も、利用目的・対象情報・作業範囲・承認者を記録しておけば、後から同じ条件かを照らし合わせられます。
判断を記録し、例外を見直す

判断を再利用するには、利用可否だけでなく、その結論に至った条件を残します。対象リポジトリや利用プラン、権限設定が変われば、以前の承認がそのまま当てはまるとは限りません。
利用目的:
対象情報と分類:
依頼する作業・対象ファイル:
利用環境と権限:
データ利用・保持条件:
利用可否と付帯条件:
確認者・承認者:
見直す条件:
再利用時は、記録と現在の設定を見比べ、情報の種類、作業範囲、利用者、データ条件が維持されているかを確認します。事故や想定外の出力があった場合の報告先・対応手順は、社内ルールに沿って記載します。報告窓口が定まっていない場合は、入力前に管理者や情報管理担当者へ確認し、連絡先を判断記録に追記します。
まとめ
Claude Codeの利用可否は、情報の機密度、依頼する作業、権限とデータの取り扱い条件を確認し、社内規程と契約に照らして決めます。個人情報は利用目的を確認し、Manualモードや/permissionsによる権限、学習・保持条件、ローカルのトランスクリプト保存、MCPなどの外部連携も判断材料に含めます。
次の一歩として、社内の情報分類基準、利用環境の設定、入力前の確認者を一つの手順にまとめてください。まずは公開情報の要約など範囲を限定した作業で確認項目を試し、条件付きの情報や例外を扱う前に、承認者と記録方法を決めておくと運用に移しやすくなります。
参考・出典
- 個人情報保護委員会は、個人情報を含むプロンプトを生成AIに入力する場合、特定済みの利用目的の達成に必要な範囲内か確認するよう求めている。 — https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230601_shiryou-1.pdf
- Claude Codeの商用条件では、Anthropic API、Amazon Bedrock、Google Vertex AIのいずれを使… — https://docs.anthropic.com/ja/docs/claude-code/legal-and-compliance
- Claude Codeの商用利用では、送信したコードやプロンプトを生成モデルの学習に使わないのがAnthropicの既定方針で、顧客がモデル… — https://code.claude.com/docs/ja/data-usage
- Claude CodeのManualモードでは読み取り専用権限で開始し、ファイル編集・テスト・コマンド実行時に確認を求める。 — https://code.claude.com/docs/ja/security
- IPAの「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」は、顧客情報・機密情報を扱う業務や外部公開前の情報を扱う業務を、生成AIの利用制限を検討… — https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf



