
受注入力の自動化はどの工程から始める?業務棚卸しの進め方
受注入力の自動化は、受付から登録・確認までを分けて業務を棚卸しすることから。手作業や差し戻しの記録方法、工程の優先順位、Excelマクロ・RPA・AI-OCRなどの選び方を解説します。
こんにちは、平岡です。受注入力の自動化は、受付から登録・確認までを分け、手作業と差し戻しを記録したうえで、標準化しやすい工程から始めるのが基本です。ツールを先に決めるのではなく、まず棚卸しを行い、人の確認を残す範囲も定めます。
弊社では、受注業務の自動化を検討するとき、最初に「どの工程に、どんな作業があるか」を見える形にします。この記事では、受注受付から登録・確認までの分け方と、着手する工程の選び方を説明します。
受注入力の自動化で扱う業務と期待できる変化

受注入力の自動化で対象になるのは、注文内容の読み取り、販売管理システムなどへの入力、入力後の照合といった作業です。電話・FAX・メールなど、受付方法が違えば注文情報の受け取り方や転記の手順も異なります。まずは受付方法ごとに、誰が何をしているかを書き出します。
中小企業庁によると、2021年に受注側で電子受発注に対応していた割合は48.5%でした。同庁は、受発注デジタル化の効果として、作業効率向上、人的ミスの軽減、取引記録の検索性向上を挙げています。ただし、自社で得られる効果や大きさは、現在の作業量や受付方法と自動化後を比べて判断します。
たとえば、注文書の内容を販売管理システムへ毎回転記しているなら、転記の手間や入力後の確認が候補です。一方、注文ごとに条件が異なり担当者が判断している場合は、入力部分だけを自動化しても確認作業が残ることがあります。作業時間やミスがどれだけ変わるかは、導入前後の記録で比較します。
自動化の対象は、受注情報の読み取り・登録・確認など、作業単位で捉えます。導入前に作業時間や修正の状況を記録すると、自社の変化を比較できます。
受注受付から登録・確認までの工程を分ける

受注業務は、受付から入力後の確認までを一続きにせず、工程に分けると自動化候補を見つけやすくなります。電話、FAX、メールのどれで受けたかも記録し、同じ商品注文でも受付方法によって作業が違うかを見ます。
- 受注受付:電話・FAX・メールなどで注文を受け、注文書やメールを担当者が確認する
- 注文内容の読み取り:商品、数量、納期など、登録に必要な内容を拾い出す
- 内容の登録:販売管理システムや受発注システムへ注文情報を入力する
- 確認と修正:入力内容と注文書を照合し、誤りや不足があれば修正・差し戻しを行う
工程ごとに作業と引き継ぎを確認する
各工程について、担当者、使用する書類・データ、次の担当者への受け渡し方法を記録します。たとえば、営業事務がメールの注文内容を確認し、販売管理システムへ登録した後、別の担当者が注文書と入力内容を照合する流れなら、登録と照合を別工程として扱います。
引き継ぎ方法も「口頭」「メール転送」「紙の注文書を手渡す」など、実際の形で残します。担当者が変わる場所や、注文書の情報が別の画面・書類へ転記される場所は、自動化の候補を検討する際の手がかりになります。
業務棚卸しを進める手順

棚卸しでは、まず受注の種類と受付方法ごとに作業を書き出します。そのうえで、担当者への聞き取りや作業記録を使い、手入力・転記・確認・差し戻しが起きる工程を特定します。普段の流れだけでなく、内容に不足があった注文や、入力後に修正した事例も含めます。
記録する項目
棚卸し表には、作業内容、発生する頻度、判断が必要な点、修正や確認の理由を記録します。件数や作業時間を比較する場合は、対象期間を決め、社内記録をもとに集計します。記憶だけで数値を埋めると、工程間の比較が難しくなるためです。
受注の種類・受付方法:
工程・作業内容:
担当者・使用する書類やデータ:
次工程への受け渡し方法:
発生頻度・作業時間:
判断が必要な点:
修正・確認・差し戻しの理由:
たとえば「FAX注文を受け、注文書から商品と数量を読み取って販売管理システムへ登録。商品コードが不明な場合は担当者へ確認」と書けば、定型的な入力と個別判断が区別できます。最初から全受注を細かく数えるのではなく、対象にした受注種類と記録期間を明記して、比較の前提をそろえます。
自動化する工程の優先順位を決める

着手候補は、手作業や差し戻しが発生する頻度、作業の標準化のしやすさ、例外対応の有無を工程ごとに並べて比較します。作業時間や修正回数を使う場合は、自社の記録をもとにします。共通の基準値をあてはめるのではなく、同じ期間・同じ範囲の記録で候補を比べることが重要です。
優先度を比べる視点
- 手作業の量:同じ内容を別の書類や画面へ何度も入力しているか
- 差し戻しの発生:修正や確認がどの工程で、どんな理由で起きているか
- 標準化のしやすさ:受注の条件や入力ルールが注文ごとに大きく変わらないか
- 例外対応:担当者の判断が必要な注文がどの程度含まれるか
たとえば、定型の注文書を同じ画面へ繰り返し転記している工程は、手作業の量と標準化のしやすさを見て候補にできます。一方、特定の担当者しか判断できない注文は、先に判断ルールを整理しないと自動化範囲を決めにくくなります。
作業時間・修正回数などの記録と、判断の複雑さを並べて比較します。数値が多くても例外判断が頻繁な工程は、ルール整理を先行する選択肢があります。
受注入力を自動化する方法

方法は、対象にしたい作業から選びます。Excelマクロは表計算ソフト上の定型処理、RPAは画面操作、AI-OCRは紙の注文書のデータ化、受発注システムは受注業務の管理方法として検討できます。既存システムとの連携や対応範囲は、候補製品ごとに仕様を照らし合わせます。
- Excelマクロ:表計算ソフト上で繰り返す定型処理が対象候補。入力元や出力先の形式、処理ルールを整理する
- RPA:画面上で行う定型操作が対象候補。操作対象の画面や、想定外の表示が出た場合の扱いを確認する
- AI-OCR:紙の注文書をデータ化したい場合の候補。読み取りたい帳票の形式と、読み取り後に人が確認する手順を考える
- 受発注システム:受注業務の管理方法を見直したい場合の候補。取引先との受注方法や既存システムとの連携を比較する
具体例として、Bカート AI-OCRは注文書の画像・PDFをアップロードしてAI解析し、Bカート管理画面に受注情報を登録できます。公式発表では会員・商品情報を参照し、会員別販売単価を反映するとされています。
Bカート AI-OCRの操作は、管理画面の次の場所から始めます。操作ガイドでは、OCR結果と会員情報を確認した後、受注作成画面へ進む手順が案内されています。
管理画面 → `受注管理` → `受注一覧` → `AI-OCR`ボタン
操作ガイドに記載された対応形式はPDF・JPG・JPEG・PNG・HEICで、1ファイル最大10MBです。推奨画質は300dpi以上とされ、低画質では読取精度が下がる可能性があります。実際の帳票が対応形式・容量・画質を満たすかを、対象工程を選ぶ段階で確認しておきます。
方法ごとの検討ポイント
Bカート AI-OCRの公式料金ページでは、月200回までのエントリープランが月額3,000円、読取1回80円と掲載されています。月200〜1,000回のプランは月額10,000円、読取1回60円です。また、特殊レイアウト帳票3種類までのプロンプト制作代行と読取テストを含む導入サポートは50,000円です。※金額はすべて税抜き表記/2026年9月29日時点
同サービスの利用規約では、同一ファイルの再読み込みも別カウントとなり、従量料金の対象とされています。読み取りをやり直す場合も回数に含まれるため、テスト件数や帳票の状態を含めて費用を見積もります。
料金ページに掲載された月額料金と従量料金を分けて見積もります。同一ファイルの再読み込みも別カウントとなるため、読み取りテストややり直しの想定を含めた確認が必要です。
自動化せず人の確認を残す工程

判断基準が定まっていない注文や、通常と異なる条件の注文は、自動処理だけで完結させにくい場合があります。過去の差し戻しや確認事例を見直し、どの条件なら自動処理へ進めるか、どの条件なら担当者へ回すかを分けます。
判断ルールを整理する
たとえば、注文書に商品情報が不足している場合、誰がどの情報を確認するのかを記録します。商品コードが読み取れない場合は営業担当へ照会する、数量の記載に確認が必要な場合は受注担当が注文元へ問い合わせる、といった具合に、確認条件と確認先を過去の事例から整理します。
Bカート AI-OCRの操作ガイドでも、OCR結果と会員情報を確認してから受注作成画面へ進む手順です。自動読取を使う場合も、どの項目を誰が確認し、修正後に登録へ進むかを業務フローに含めます。どこまで処理できるかは仕組みごとに異なるため、製品の仕様と自社の例外事例を照合します。
判断条件が明文化されていない注文や、情報が不足する注文は確認工程に残します。確認条件・担当者・確認先を決めてから、自動処理へ進める範囲を定義します。
導入前に確認したい注意点とツール選び

ツールの機能だけでなく、現状業務を見直せるか、取引先への周知が必要か、導入・運用にかかるコストやサポート体制が自社に合うかを確認します。既存システムとの連携については、どのデータをどの工程で受け渡すのかを書き出してから、候補ごとに照らし合わせます。
比較時に確認する項目
- 対応する受注形式:電話、FAX、メール、注文書の画像・PDFなど、自社の受付方法と合うか
- 例外時の処理:情報不足や読み取りにくい注文を、確認・修正へ回せるか
- 既存システムとの連携:受注情報の受け渡し先と方法が、自社の業務フローに合うか
- 運用支援:初期設定、帳票の読み取りテスト、運用中の問い合わせ対応など、支援内容を確認できるか
- 費用:月額費用、従量料金、初期支援など、費用が発生する条件を分けて把握できるか
候補を比べる際は、同じ受注種類と工程を前提にします。たとえば、FAX注文の転記を減らしたいのか、受注情報の管理方法そのものを見直したいのかで、確認する機能や連携先は変わります。候補製品の機能・料金・サポート内容は、導入前に個別に確認します。
まとめ
受注入力の自動化は、受注受付から登録・確認までを工程に分け、手作業や差し戻しが起きる箇所を記録してから、自動化候補を比較する流れで進めます。自動処理に向く定型作業と、判断を残す例外対応を分けることが、導入範囲を決める土台になります。
次の一歩として、対象にする受注種類と受付方法を決め、棚卸し表に作業内容・頻度・判断点・修正理由を書き出してください。記録をそろえてから工程を比べれば、自社が最初に自動化する範囲を具体的に選べます。
参考・出典
- 中小企業庁によると、2021年に受注側で電子受発注に対応していた割合は48.5%だった。 — https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/digitalization/index.html
- Bカート AI-OCRは、注文書の画像・PDFをアップロードしてAI解析し、Bカート管理画面に受注情報を登録できる。 — https://bcart.jp/news/425/
- Bカート AI-OCRの公式料金ページでは、月200回まで月額3,000円、読取1回80円のエントリープランを掲載している。 — https://bcart.jp/lp/aiocr/
- Bカート AI-OCRの操作ガイドでは、対応形式をPDF・JPG・JPEG・PNG・HEIC、1ファイル最大10MBとしている。 — https://userguide.bcart.jp/management/ai-ocr/order_registration/
- Bカート AI-OCRは同一ファイルの再読み込みも別カウントとなり、従量料金の対象になると利用規約に定めている。 — https://bcart.jp/company/aiocr_terms



